2012年11月4日日曜日

マーケットリサーチを最大限に活かす

HBR Blog Networkの”Using Market Research Just for Marketing Is a Missed Opportunity” by Werner Reinartz によれば、ほとんどの企業がカスタマーインテリジェンス(顧客データの収集と分析)を顧客との関係構築、改善に利用している。顧客の購買サイクルを知ることでより効果的にプロモーションできるようになるということである。しかしながら、そうした情報をイノベーションに利用できている企業は少ない。


まず、既存顧客から集めたデータを新製品や新サービスの開発に結び付けることができる。フォークリフトを製造しているFenwickでは、センサーとRFIDを使って各フォークリフトの利用状況に係る情報を集め、遠隔監視、イントラネットの開発、運転手への講習といったサービスを開発し、そうしたサービスからの収入が売り上げの半分を占めるまでに成長しているという。

また、インターネットに係るカスタマーインテリジェンスについて、購買プロセスの簡易化、購買履歴、輸送状況の追跡、製品への感想といった既存顧客に係る情報だけでなく、潜在的顧客がネットに発信している情報を分析することで、その可能性をより広く捉えることができる。

例えば、ドイツ最大のヘアケア製品会社であるSchwarzkopfでは、自社サイトのパフォーマンス(トラフィックやセールス)を向上させるため、数百万人がブログにポストしたヘアケアに係る情報の分析を行った。その結果、顧客がブランドや製品の特性よりもそれぞれのヘアケアの問題を気にかけていることに気付いた。そして、ブランドや製品のリストに代えて、髪の特徴にフォーカスして自社サイトを再構築することによって、そのトラフィックを3倍にすることに成功した。

こうした情報を入手するための課題は、自らにとって最良のデータが存在するオンラインの場所や集団を特定することにある。



なお、Schwarzkopfの事例については、パフォーマンスの向上が主にトラフィックの増加によるものであるという点に注意が必要であるように思われる。サイトを確認してもらえれば分かることであるが、髪に係る情報は豊富に提供されているが、個別製品に係る情報はあまりなく、また目立つようにも配置されていない。おそらくウェブではヘアケア市場におけるブランドの強化、新規の見込み客の呼び込みにのみ注力し、直接的な売上アップは店頭やCM等、別のポイントで行おうと考えているのであろう。

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