あらゆるビジネスにおいて、何が顧客、消費者に影響を与え、また彼らを説得するのかが追求されるが、そのために最もよく行われる戦略の一つは直接聞くことである。ただ、どういう具体的な方法(ヒアリング、オンライン調査、調査会社への依頼など)を選択するかにかかわらず、そこには回答者である顧客、消費者自身がその答えをしらないという根本的な問題がある。
情報、気を散らしてしまうものが過多な環境下で行われる意思決定のほとんどは、認識よりも文脈に駆り立てられる。そして、行動科学者のWes SchultzとRobert Cialdiniはなぜ将来の意思決定や行動に影響を与えるであろうものを考えてもらってもうまくいかないと、証拠をもって示している。その一つでは、カリフォルニアの数百人の住宅所有者に、以下の4つのメッセージから、エネルギー消費の抑制を促すのに最も効果的なものを選んでもらった。
- エネルギーの節約は環境を救う。
- エネルギーの節約は未来社会を救う。
- エネルギーの節約はお金の節約になる。
- 多くの近所の人達もエネルギーの節約に既に取り組んでいる。
そして、人間は自分の将来の行動に影響を与える要素を認識することがかなり下手であるだけでなく、実際に自分の行動を促したものを認識することも上手くできない。例えば、ニューヨークの地下鉄でどれほどの通行人がストリートミュージシャンに寄付を行うかについての研究では、自分の前を行く通行人が寄付をしたか否かで8倍の違いが出た。ただ、観察後のインタビューでそうした行動の違いをもたらした要因を尋ねたところ、他の関係ない理屈付けがされた。結果、消費者や顧客に尋ねるのではなく、その行動を観察するということが必要になってくるのである。他にも説得の6原則:Science of Persuasionで取り上げた、ホテル客室で同じタオルやリネンを繰り返し使うよう求めている事例もある。
要は、尋ねるよりも観察しろということである。
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