2013年1月5日土曜日

2013年におけるテレコム業界の展望

2013 Telecommunications Industry Perspective”(booz & co.)の抄訳。

スマートフォンやタブレット端末の普及、モバイルインターネット、デジタル化技術(クラウドコンピューティングなど)により、データ通信の量は急激に増加している。それに対応するため、テレコム各社はワイアレスブロードバンドなどに多大な投資を行っているが、収益化は上手くいっていない。

こうした状況下でビジネスを拡大していくには、コアとなる事業の再定義、隣接分野への拡大、企業としての規模に応じた一貫性の保持といったリストラクチャリングが必要となる。そして、その実現のためには、以下の4つのビジネスモデル(相互に排他的ではない。)がある。

1.安定したネットワークの提供 (The network guarantor)
ネットワークインフラと関連サービスの提供、高い通信品質、信頼性、スムーズに統合されたプラットフォームとアプリケーションの保証を、費用対効果の高い方法で実現することに集中する。従来のビジネスモデルとあまり変わらないように見えるかもしれないが、通信量の激増に伴って重要性が増しつつあり、いくつかのネットワークやサービスを選択肢として顧客に提供しているテレコム企業もある。

2.顧客のビジネス支援 (The business enabler)
信頼できるバーチャルネットワーキング、クラウドサービスなどを通じて、ビジネス関係の顧客がデジタル化の利益を得ることを支援する。例えば、ビジネス関係の顧客に対して、テレコム企業が自社の課金、徴収システムを利用可能なようにすること、オンラインリテールの拡大支援などである。

3.際立った顧客体験の創造 (The experience creator)
電子財布(おサイフケータイ)、パーソナライズされた情報に基づくアプリ、音楽、ビデオクリップ、ゲームへのアクセスといった、アプリケーションとコンテンツを、最高のユーザー体験に統合させたかたちで、顧客に提供する。ただ、顧客に関する深い洞察、顧客のマネジメント、イノベーション、既存のネット企業との競争などもあり、このモデルで成功しているテレコム企業はほとんどない。

4.グローバル展開 (The global multi-marketer)
ホームとしている市場やセグメントを越えて、他国の市場や新たなセグメントに乗り出す。

そして、これらのリストラクチャリングを実現するには、以下の5つの能力を望ましいバランスで備えていなければならない。 
1.卓越した顧客分析能力 (Enhanced customer analytics)
2.革新的な製品・サービスの創造と提供による顧客体験のマネジメント (Customer experience management)
3.デジタル化による顧客企業のビジネスプロセスの改革 (Digital enablement)
4.隣接するセクターや新市場への進出に際しての戦略的提携 (Strategic partner management)
5.保有資産の把握とマネジメントによるコスト構造の適正化と投資資金の確保 (Yield management)

0 件のコメント:

コメントを投稿