大企業はイノベーションに不向きなように組織されており、実際に苦手である。
例えばベビー食品大手のGerberは、陰りの見えだした自社の潜在的成長力を踏まえ、大人向け食品市場に参入したが、失敗した。野菜、果物の選別、処理といった自社の強み、忙しく調理時間の確保できないアメリカの成人向けに健康な食事を提供するという意義(社会的ニーズ)があったにもかかわらず。彼らは”Gerber Singles”という新しいレーベルを立ち上げたが、独自のブランディング、流通戦略を採用せず、提供されるものは既存のものと大差なかった。
この背景には、顧客ニーズよりも大企業が追求しがちな効率性にフォーカスしてしまったことがある。顧客ニーズの充足よりも自社の既存資産の有効活用、社会的意義(社会的課題に対するソリューションの提供)よりも事業利益である。
ただ、この利益追求自体は企業として当然の行為であり、本当の問題はGerberの幹部が効率性を重視し、イノベーションを起こしにくいという大企業の特性を認識していなかったことにある。そうした習性から自由なグループをつくり、必要な権限委譲を行う必要があったのである。それができないのであれば、既存事業をしっかりと行い、株主に配当で還元するほうがいい。
「イノベーション・パフォーマンスの高め方」:
戦略、組織両面でイノベーションに必要な要素を満たす。
「カタリストを活用した大企業によるビジネスモデルイノベーション」:
適切な人材配置により、大企業でもイノベーションを起こす。
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