2012年12月11日火曜日

ビジネスモデルイノベーションの持続的優位性

ビジネスモデルイノベーションについて、「イノベーションの浸透(技術とビジネスモデル)」ではその技術革新補完性が明らかにされたが、今回は技術革新との比較によりその持続的な競争上のアドバンテージを明らかにしている。

HBR Blog Networkの”Business Model Innovation is the Gift that Keeps on Giving” by Karan Girotra and Serguei Netessineの抄訳。

Zaraのビジネスモデル(ファストファッション)は今でこそ大きな注目を浴びているが、30年以上の間ノーマークだったおかげでInditex (Zaraの親会社) はゼロから20億ドルへと売り上げを伸ばすことができた。なぜすぐにマネされなかったのか。どのようにして持続的な成長が可能になっているのか。その答えはZaraのイノベーションがビジネスモデルで起こったことにある。

Zaraのモデルはファッショントレンドへの迅速な対応が可能なようにデザインされており、そのおかげで店舗の商品棚には常に最新の衣服が積み上げられている。このモデルがどう機能するかに関心が向かいがちであるが、そこから生み出される収益の持続可能性にも驚くべきものがある。

Zaraは1975年に設立され、その親会社Inditexは2001年に株式公開した。最初の5年間に、創業者のAmancio Ortegaは、アパレル業界においてはコストがかさんでも(流行、顧客ニーズへの)迅速な対応が競争のキーとなることを理解し、立地、配送システムに大きな投資を行った。近年Uniqlo, Mango, H&Mが同様のビジネスモデルを導入し成長しているが、20年以上もの間、Zaraのビジネスモデルが注目されず、また模倣されずにいたことに驚かざるを得ない。

逆に、大ヒットしたファイザーのヴァイアグラは、1996年に特許登録され、1998年から販売されるようになったが、5年も経つと、Cialis, Levitraという強力な競合が、90%以上もあったファイザーのシェア50%まで奪ってしまった。

他の例として、アップルは2007年のiPhoneの開発、投入により、スマートフォン市場に革命をもたらしたが、数か月のうちにサムスンから驚くほどに似たインターフェイス(タッチスクリーン)のスマートフォンが発売され、5年後の現在、アップルの革新的なインターフェイス、それに続くアプリケーションプラットフォームはスマートフォンの標準となっている。

では、どのようにしてZaraはそのビジネスモデルイノベーションからの利益を享受し続けることができているのであろうか。答えは以下のようなビジネスモデルのユニークな特徴にある。
  • ビジネスモデルイノベーションは、多くの場合、企業内プロセスで発生しており、外部からは直接捉えられない。 
  • ビジネスモデルイノベーションは、企業DNAに埋め込まれており(企業活動のコアとなるオペレーションロジック)、プロダクトデザインよりも模倣が困難である。
製品上、技術上のイノベーションが模倣されたとしても、ビジネスモデルにおいて差別化できている限り、利益を生み出し続けることができるのである。

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