HBR Blog Networkの”Focus Entrepreneurship Policy on Scale-Up, Not Start-Up” by Daniel Isenbergの抄訳。
Start-up Americaなど、スタートアップ向けに起業に係る様々なプログラムが世界中で生まれているが、起業家支援政策についてはそのポートフォリオを、起業促進から成長促進にシフトしていく必要がある。
アントレプレナーシップとスタートアップは一緒くたにされがちであるが、そのことが二つの誤解を生み出す。
· 起業することが最も困難で重要なタスクである。
· 起業の数がプログラムの成否を示す。
アントレプレナーシップが重要であったとしても、それを達成する方途としてはスタートアップ以外にも買収、事業目的の再設定、スピンオフ、未活用・低評価資産の再結合、「リスタート」(by George Foster)などがある。例えば、カスペルスキー(ロシアを本拠地とするPC、ネットワークのセキュリティ会社)は、先進的なアンチウイルスの会社を、経営難にあったロシアの機関からスピンオフで生み出した。他にもサーチファンド(事業アイデアを見つけるための資金を投資家から調達する仕組み)、家業、大企業、研究所、大学等などの仕組みがある。
しかし、起業後の成長がなければ、その大きな価値も発揮されない。そして、その過程には数々の困難が待ち受けている。それは、強力なセールス、マーケティングの確立、多様な人間を雇用し、統率することによる組織構築、資源調達に係るノウハウの取得などである。2000年代、デンマークで行われたスタートアップへの包括的支援はベンチャー企業を大きく増加させたが、数年後、そのほとんどは社員数名で成長が止まってしまい、成長企業と判断できるようなものは1%に満たなかった。
ベンチャー企業の成長にフォーカスするためには、以下の政策が必要である。
· 政策評価の指標を、生き残っているベンチャー企業数ではなく、その成長とする。
· 成功していないベンチャー企業の廃業を推進し、ベンチャー企業の入れ替えを活発にする。
· スキル、マネジメントに長けた高度人材プールを構築する(ベンチャーには新たな経営者だけでなく、新たな従業員が必要なのである。)。
成長企業は(起業家、株主、従業員、そして政府に対して、)正の外部効果があり、その地域の起業文化に大きな影響を与える。スタートアップは、量から質へと、その求められるものが変わらなければならない。
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