2012年12月3日月曜日

説得6原則: Science of Persuasion

人を説得するための原則についてのアニメーション (Science Of Persuasion based on the research of Dr. Robert Cialdini, Professor Emeritus of Psychology and Marketing, Arizona State University.)の抄訳。



人は入手可能な全ての情報を元に判断を下していると考えられているが、それには大きなコストが伴うことから実際にはいくつかのショートカットを使っている。

1. 相互関係 (Reciprocity: Obligation to give when you receive)
相手が予想していない状況下で、個別に贈り物をすることが効果的。

レストランでのチップに係る実験
 ・食後に領収書とともに1個ミントを渡した場合、チップの額が3%増加した。
 ・食後に領収書とともに2個ミントを渡した場合、チップの額が14%増加した。
 ・食後、帰り際に「あなたはいいお客さんです。」と言って1個ミントを渡した場合、チップの額が23%増加した。  

2. 希少性 (Scarcity: People want more of those things there are less of)
プロモーションに当たっては便益だけではなく、その固有性、その機会を見逃した場合に失うものも提示したほうがいい。

航空会社での事例
2003年、ブリティッシュエアウェイズが採算性の問題から、コンコルド(ニューヨーク・ロンドン間)の一日2便運行を止めると発表したところ、値段、飛行時間等何も変わっていないのに、翌日の売り上げが大きく上昇した。 

3. 権威 (Authority: People will follow credible knowledgeable experts)
影響を与えようとする前に、信頼に値し、知識を有する、専門家というシグナルを発信することが重要。 

不動産会社での事例
それまで不動産販売員が直接電話対応をしていたところ、受付的役割を担う人間を経由させ、長い経験を有する販売員であること、かなりの知識を持った販売員であることを話した後、その販売員に繋ぐようにしたところ、予約件数が20%、成約件数が15%増加した。

4. 一貫性 (Consistency: People like to be consistent with the things they have previously said or done)
本命の依頼に先だって、小さな、受け入れやすいお願いをする。そして、自発的、積極的に行われた、公表済みのコミットメントが有効(ヘルスセンターにおいて患者の予約時に、日時を予約カードに書いてもらうようにしただけで、すっぽかしが18%減少した。)。

安全運転キャンペーンの事例
個人宅の庭に安全運転を呼び掛けるボードの設置をお願いしたところ、ほとんど誰も了承しなかった。別の地域で同様のことをしたところ、4倍も多くの家庭を説得することができた。実は後者においては、その一週間前に小さなステッカーを家の窓に貼ることをお願いして、多くの協力を得ていたのである。  

5. 好意 (Liking: People prefer to say “Yes” to those they like)
人が他人を好ましく思う際の3つの重要な要因
 a. 自分と似ている。  
 b. 感謝や賞賛を与えてくれる。
 c. 共通の目標に向かって協力してくれる。
 
MBAに通う二校の学生間でオンラインでの交渉実験
 ・第一集団には「時は金なり」といってビジネスライクな対応を指示したところ、合意に至ったのは55%であった。
 ・第二集団には交渉の前に、情報交換し、共通点を見つけるように指示したところ、合意に至ったのは90%に上昇した。

6. 多数意見 (Consensus: People will look to the actions of others to determine their own)
個人の責任感に頼るより、これまで他の多くの人達(同様の状況にある人々であるとより効果が高い。)がしてきた行動を示す方が説得には効果がある。

ホテル客室で同じタオルやリネンを繰り返し使うよう求めている事例 
 ・「再利用は環境保護の観点から望ましいことです。」というメッセージを出したところ、35%の宿泊客が順守した。
 ・ 調べたところ、4泊以上する宿泊客の75%がタオルなどを繰り返し利用していることが分かり、「(ある条件で)75%の宿泊客がタオルを繰り返し利用しています。どうぞ同じように行動してください。」というメッセージを出したところ、順守率は26%上昇した。
 ・「この部屋の宿泊客の75%が宿泊中、タオルを繰り返し利用しています。」というメッセージを出したところ、順守率は33%上昇した。

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