BCGの”Mr. Number 19 and the Race to Educate the Next Generation”の抄訳。
何年にも渡って週80~90時間の勉強を続け、高い教育水準を達成したNumber 19(インド工科大学入学試験で40万人中19番になったインド人男性)とHarvard Girl(困難な環境から飛躍を遂げた中国南西部出身の女性)という成功者の象徴を取り上げつつ、両国が進める将来に向けた成長基盤の構築とその影響をまとめている。
・10兆ドルのコンペ ($10 trillion prize)
2011年から2020年までの間に8300万人の中国人、5400万人のインド人が大学を卒業することとなり、そうした高い能力を持つ若い世代が大きく貢献して、2020年には両国合わせて10兆ドルという消費が生み出されるのである。
・BCG E4 index
以下の教育に係る四指標を均等にウエイトし、国際比較したもの。これによれば、アメリカがダントツのトップに君臨し、その後には英国、中国、インドが続いている。*
Enrollment:高等教育への進学者数
Expenditure:公共・民間部門からの教育投資額
Engineers:エンジニア系学位の所有者数
Elite Institutions:世界トップレベルの大学数
インドでは初等教育の基盤確立による貧困のスパイラスの解消、中国では世界トップランクの高等教育機関の育成による人材の囲い込み(1972年から2009年の間に140万人の中国人が留学し、そのうち40万人しか帰国していない。)が課題となっている。
いずれにせよ両国は教育を公共事業などに代わる、次世代の投資と捉え、中長期計画に基づいて積極的に取り組んでいることだけは確かである。
* 中国、インドはその人口を反映して高等教育への進学者数で大きくポイントを稼いでいるが、この点をどう解釈するかは目的によってことなってくるであろう。なお、7位に位置する日本は教育投資額では大きなポイントを稼ぐ一方、エンジニア系学位の所有者数と世界トップレベルの大学数で大きく見劣りしており、これらの指標で捉えた限りでは投資効率の高くない日本の教育という印象になってしまう。ただ、主に科学技術系の教育に焦点を合わせており、いわゆる文系的な分野、ノーベル賞受賞者数等の成果という視点は含まれていないことに留意が必要。
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