100年前、フランス人エンジニア、マクシミリアン・リンゲルマン(Maximilien Ringelmann)による簡単な綱引きの実験において、人間の努力はチームが大きくなるほど急激に小さくなることが分かった(リンゲルマン効果)。実験では、8人で引っ張る力は4人で引っ張る力に及ばなかった。当時は、(目的を達成するために必要な)労力を調整することの難しさに起因するものであるとの理屈付けが行われた。
1970年代、これに素晴らしいひねりを加えたのが、アラン・イングハム(Alan Ingham)達である。以下の二つの実験結果の比較である(①上記と同様の単純な綱引き、②参加する他のメンバーには知らせずに、何人かの参加者にロープを引く振りだけするように指示した上での綱引き)。実験の結果、何も知らなかった参加者が示した労力は、どちらの場合でも変わることがなかった(社会的手抜き(social loafing):人数が多くなるほど、結果に対する責任感が小さくなり、労力を投入しなくなる)。
その後、様々な課題に係る同様の実験が行われたが、人々は4人、せいぜい5人のチームを好むことが分かった。それ以下の人数では効果的に取り組むには少なすぎると感じられ、それより多いと手が抜かれるのである。ただ、課題の困難性・複雑性については説明しきれない面もあり、仕事への適用可能性については留保が必要である。
チームの規模を変更することができない場合の対応策については以下の4つの選択肢がある(何もしないで手をこまねいていると、ハイパフォーマーは手を抜いているメンバーをそのままにしている組織に対して不信感を抱き、去っていくだろう。)。
- 複雑な課題を管理可能なように分割する(各メンバーが責任を負うべき領域を明確にする。 )
- 緊急的状況にあるという感覚を醸成する (自分自身のことよりも優先されるべき事項を与えるということになるが、継続的に行うのは難しい。)
- パフォーマンスの低いメンバーがより多くの責任感を感じるようにする
- フィードバックをオープンに行うことで透明性を高める(怠け者が隠れられないようにする。)
0 件のコメント:
コメントを投稿