McKinsey Quarterlyのレポート”Unlocking the potential of emerging-market cities”によれば、大抵の企業は国・地域単位で資源配分を行っているが、より速く成長するには都市に焦点を変えたほうがいい。
現在、巨大な都市化の波が新興国の成長を強力に後押ししている。2025年には40億人を超える強力な消費者層が世界に生まれるが(1990年時点では10億人程度であった。)、そのうちの半分は新興国の都市が占め、消費、モノへの投資併せて25兆ドルの経済活動が発生することとなる。
2010年現在の世界のGDP(60兆ドル)のうち、先進国の大都市が36%を占め、抜きん出ているが、2025年までの経済成長に対する寄与度としては、新興国の上位443都市で47%、新興国のそれ以外の地域で27%、先進国で26%となっており、新興国の大都市に大きな成長の可能性が広がっていることが分かる。
しかし、成長戦略を構築する際に、都市の持つ重要性を十分に理解しているビジネスリーダーはほとんどいない。また、既存の確度の高い案件から将来を見据えた案件に予算を回すことも容易ではない。だが、そこで先行企業(early-mover)になることで、人口動態や所得のトレンド、消費の特徴等、各都市に応じたレンズ(モノの見方)を持つことができる。分野ごと(65歳以上の高所得層、低所得の若者、洗濯用品への消費支出、商業売り場面積への需要、水の需要)に2025年までに最も増加率の高い都市をランキングしている。
・高齢者向けのヘルスケア製品を取り扱っている企業であれば、購買力平価ベースで2万ドルの所得を持つ高齢者が増加し、最も多くなる上海、北京が重要な市場となることが分かるであろう。先進国で同様の状態となるのは東京、大阪くらいしかない。
・幼児用食料品の市場として、子どもを持つ世帯数についてはアフリカが有望となってくる。アフリカにおけるそうした世帯の所得は購買力平価ベースで7500ドルから2万ドル程度となっている。
・洗濯用製品市場として、サンパウロ、北京、リオデジャネイロ、上海は最も有望であるが、それは世界的な消費動向の一部でしかなく、新興国都市部の消費者はさらに年間14兆ドルを消費すると見込まれている。
・世界中の都市は2025年まで少なくとも10兆ドルを物理的なインフラに投資しなければならない。うち不動産投資の増加のうち、40%は中国の都市が占めることとなる。
・都市部の水関係インフラの整備には、2025年までに4,800億ドルが必要となり、うち80%はムンバイ、デリーなど、新興国の都市が占めることとなる。
同じ国の中でも、都市毎にその選好が異なることから消費行動(自社製品の選択率)に違いが出てくる(地域ごとの家計の所得水準の差を調整した後でも同様の結果)。
グローバルな経済活動の中心は既に新興国に移っているのはもちろんであるが、さらにその諸都市への着目が求められる段階まで競争のレベルが上がってきているということであろう。
グローバルな経済活動の中心は既に新興国に移っているのはもちろんであるが、さらにその諸都市への着目が求められる段階まで競争のレベルが上がってきているということであろう。
0 件のコメント:
コメントを投稿