2012年8月25日土曜日

フリーミアム戦略の正しい使い方

Sarah E. NeedlemanとAngus Lotenの“When Freemium Fails”では、ファイル共有サービスのDropbox、ソーシャルネットワーキングのLinkedIn、インターネット電話のSkypeなどの成功を受け、多くの企業がフリーミアム戦略を採用しているが、多くが失敗しており、どこに注意すべきか簡単にまとめている。


・ハーバードビジネススクールのVineet Kumar教授によれば、「無料のサービスで集客し、後に追加料金を取るという一見すると簡単と思われるところに誤りがある。どんな機能を無料にし、何にお金を払ってもらうかを決めるのはかなり難しい。」

・フリーミアムでは、利用者の1%-2%しか有料会員にならないので、百万人単位の顧客基盤が必要になる。その見込みがなければ、フリーミアムは選択すべきでない。

・そもそも対象顧客が限定される場合にもフリーミアムは適さない。例えば大企業を対象とするサービスには適さない。なぜなら、彼らは十分な資本を有し、価格よりも品質にこだわるからだ。

・エバーノートのCEOであるPhil Libinによれば、「フリーミアムが機能するには時間がかかる。」なぜなら、まずは無料会員としてサービスを利用してもらい、納得した上でないと有料会員にはならないからだ。一足飛びに有料会員となるようアプローチするのは難しい。


なお、記事の中で、フリーミアムをやめ、サービスを有料化したことで、成功したChargifyという支払請求システムのソフトウェア会社の事例が出ているが、なぜ彼らが成功したか。フリーミアムをやめたおかげということになっているが、当初フリーミアムを導入し、顧客基盤を拡大したことも要因であることを忘れてはいけない。フリーミアムに要する経費はマーケティング経費(デジタルなサービスの場合、限界費用はゼロに近いが、その場合は得べかりし利益と考えておけばよいだろう。)として、認識しておく必要がある。

0 件のコメント:

コメントを投稿