2012年9月17日月曜日

戦略的に戦略を決める

Martin Reeves、Claire Love、Philipp Tillmannsの”Your Strategy Needs a Strategy”によれば、予測可能性と影響力行使可能性といった観点から、環境を四分類し、分析した上でなければ、適切な戦略を選択することはできない。
〇環境の分類軸

・環境の予測可能性(Predictability):需要、企業業績、競争の変動、市場の期待をどれだけ先まで、どれだけ正確に、自信を持って予測できるか。

・環境への影響力行使可能性(Malleability):自社、競合他社がどの程度、上記の要素に対して影響を行使できるか。


〇分類された、各環境に対応する戦略

(1)典型的対応 (Classical)
石油産業など、環境は予測できるが、企業がそれを変化させられない産業。長期的観点からの戦略策定が重要であり、また可能であるため、時間をかけて分析的、量的なアプローチをすることとなる。

(2)適応的対応 (Adaptive)
ファッション産業など、グローバルな競争、技術革新、社会との相互影響などにより、環境変化の予測が困難であり、かつ企業がそれを変化させられない産業。ラフな仮説に基づいた小規模の試みをオペレーションと密接に結び付いた形で短いサイクルで繰り返し、最小の情報的・時間的ロスで変化のシグナルを捉えることとなる。

(3)形成的対応 (Shaping)
情報ソフトウェア産業など、市場が若くて成長率が高い、参入障壁が低い、イノベーションが盛んに起こる、環境変化の予測が困難だが、企業がその状況に影響を及ぼすことも可能な産業。マーケティングやパートナーシップなどにより、自らにとって有利な環境を形成することとなる。Facebookがそのプラットフォームを公開し、サードバーティーによるアプリを増強することでMySpaceを駆逐した例が挙げられている。

(4)先見的対応 (Visionary)
環境変化の予測が可能であり、影響を与えることも可能な産業。新産業創出、新たなビジョンでの自社の再活性化などの対象となるものである。インドのタタによる超低価格の自動車、「グローバルなイーコマースを可能にする者」という新たな自己認識を確立し、オンラインリテールの隆盛で出現した配送需要を取り込んだUPS(アメリカの物流会社)の例が挙げられている。


上記の分類に際して犯しがちな誤りとして、予測可能性と影響力行使可能性の過剰評価、企業文化と戦略の不適合、地域間や企業の成長フェーズでの相違の見誤りが指摘されている。

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