2012年9月4日火曜日

米国経済が抱える問題(人口動態の変化)

David Leonhardtは、一連のレポートにおいて、米国経済が抱える問題について解説している。今回は“Is Simple Demography Behind Weak Economy?”から、人口動態の変化について。


アメリカの年間経済成長率(10年平均)は上記グラフが示すように、1960年代、70年代は平均4%、1980年代から2000年代にかけては平均3%であった経済成長率がここに来て2%を割り込むところまで減少している。

Leonhardtは、構造的な原因の一つとして、アメリカの生産年齢人口比率は今後増加しないことが挙げられている。生産年齢人口とは教育を終える年齢に達しているが、退職するほど年老いてもいない、社会の生産活動に寄与する年齢層の人口を意味する。需要もそうだが、特に供給力という観点から、経済に大きな意味を持つ。アメリカでは、1967年から1997年にかけて25~64歳人口が全体人口に占める割合は44%から52%まで増加したが、2007年以降、53%程度で停滞している。*

また、労働力に占める女性比率は、1948年から1997年にかけて32%から60%まで増加したが、現在の57%まで低下し、これ以上の上昇は見込めない。つまり、生産年齢人口のうち、実際に生産に寄与する人間の数も増加しないということである。

Leonhardtの言うとおり、確かに生産年齢人口比率は増加しないかもしれないが、2012年版国連世界人口推計が示すように生産年齢人口自体は増加する見込みであることに注意が必要である。既に生産年齢人口自体が減少し、今後も減少し続ける日本に比べれば、良い状況であると言える。

* 一般的に生産年齢人口は15歳以上65歳未満の人口をいうが、ほとんどの人間が高校まで進学する現在、適切な設定かは議論がある。

0 件のコメント:

コメントを投稿